eスポーツとは、エレクトロニック・スポーツの略称で、テレビゲームやコンピューターゲームを使って競技として行う対戦のことを指します。
これまでゲームは「娯楽」としてのイメージが強く、くつろぎの時間に楽しむものという認識が一般的でした。しかし、ここ数年でその立ち位置は大きく変わり、「観るスポーツ」「競い合う競技」として確かな存在感を示すようになっています。
eスポーツの対象となるゲームには、格闘ゲーム、FPS(ファーストパーソン・シューティング)、MOBA(マルチプレイヤー・オンライン・バトル・アリーナ)、ストラテジー、スポーツ系など多彩なジャンルがあります。
どのジャンルにも、それぞれ特化した技術や知識が求められ、短期的な反応速度だけでなく、長期的な戦略性やチームワークなどが勝敗を左右します。単に「うまい」だけでは勝てず、状況判断やメンタルの強さなど、まさにスポーツ選手と同じような総合力が問われるのです。
また、eスポーツは1対1の個人戦だけでなく、5人や6人などのチーム戦で行われることも多く、プレイヤー同士の連携や役割分担も重要になります。
試合中のコミュニケーションや瞬時の判断力は、リアルスポーツと遜色ないほどの緊張感と駆け引きを生み出します。ゲームを通じて展開されるこの“知略の応酬”が、観客の心をつかみ、eスポーツの人気の土台となっています。
eスポーツの進化の象徴ともいえるのが、各種大会の規模拡大です。
かつては一部のゲームファンの間でひっそり行われていた対戦イベントが、今では数万人を動員する会場で開催され、さらには世界中にライブ配信される大イベントへと変貌を遂げました。
国内外問わず、多くのeスポーツ大会が開催されており、そこには多額の賞金や豪華なスポンサーがついています。
たとえば、世界的に有名なMOBA系タイトルの大会では、優勝賞金が数億円を超えるものも珍しくありません。
こうした大会では、出場チームの選手がプロとして専属契約を結んでいることも多く、事前のトレーニングや戦略会議など、まさに本格的なスポーツチームさながらの準備が行われています。観客側もその真剣さを理解しており、選手たちのプレイに熱狂と称賛を送りながら、手に汗握る展開を楽しんでいます。
今や「ゲームが職業になる」ことは、特別な話ではありません。eスポーツ選手はもちろん、ゲーム実況者、戦術コーチ、チーム運営スタッフ、イベント企画者、配信プラットフォームの技術者など、多くの関連職種が登場し、ゲームを中心とした職業の裾野が大きく広がっています。
かつては「ゲームばかりしていても仕事にならない」と言われていた時代が、すでに過去のものとなりつつあるのです。
特にプロeスポーツ選手は、スポーツ選手と同じようにトレーニングスケジュールを組み、コーチの指導のもとで練習に励みます。反射神経、集中力、分析力、そして精神的な安定性など、多くの能力が求められます。
試合だけでなく、日々の練習風景やSNSでの発信も重要な活動の一部となっており、いかにファンとの距離を近づけるかという点でも工夫が必要です。